2010年12月29日水曜日

子どもに注意。

















パリに出るとき、いつも電車に乗るのがRERのブー・ラ・レーヌ駅。駅のガード下へ向かう坂道に、この注意信号があります。
で、暗くなると、

こうなって、
こうなって、












こうなる・・・。






















アンファンの文字は点滅し、子どもはちゃんと動いて見える。ま、それだけのことなのですが。(宏)

2010年12月27日月曜日

2010年度・私の好きだった映画。















 映画大好きです。それも映画館で見るのが好き。
たいていは朝の回、6ユーロで見る。年寄り割引きがある館は午後も行くけど。パリの名画座系はだいたい入った経験あり。アントニーやアルクイユ、ソーの町の映画館も、いい映画を安く見られます。パリで最近よく行くのは、14区のEntrepôtとか。
Entrepôtはカフェやレストランもある。60歳以上は6ユーロ。















年末だし、今年見た映画の中から気に入ったのを10本、選んでみました。
ベスト10にしようと思ったけど、順番つけるのは難しかったので順不同。

●「Potiche」:オゾンが久々に「8 femmes」のノリを取り戻した。ドヌーヴも大女優ぶらないで軽くていい。最初の5分がすごく楽しいのです。ところで、この映画の日本題って「しあわせの雨傘」なんだって! 信じらーんない。
●「Fantastic Mr. Fox」:狐がひたすら可愛い。洒落てる。
●「The Ghost Writer」:端正。熟練。
●「Benda Bilili」:「ブエナビスタ・ソシアルクラブ・バンド」と同じパターンだけど、やはり感動的。最後に拍手してしまう。
●「La Princesse de Montpensier」:タベルニエ、健在。
●「Le Bruit des glaçons」:ベルトラン・ブリエも、久しぶりだけど健在。
●「Bright Star」:ジェーン・カンピオンは健在といえるかなー。でもきれいな映画だった。
●「Simon Werner a disparu」:「エレファント」と「ツインピークス」をフランスの高校生目線で作り直したのね。でも、パリ郊外の高校を知っているヒトにはすごーく腑に落ちる映画。一貫して盛り上がらないのもフランス的。
●「Summer Wars」:ネットもゲームも音痴なのに、楽しく見られたのは花札のせいか?
●「Machete」:力づくで楽しませてくれるロドリゲス節。快感です。

我ながら趣味がとっ散らかっていると思いますね、こうして書き出してみると。(由)

2010年12月24日金曜日

ケルテス。

コンコルド駅出口の脇の階段を上るとジュ・ド・ポーム。

















アンドレ・ケルテス展を見にジュ・ド・ポームへ。

Antoine STINCO 改装設計。

















高い天井の19世紀の建築が、3層の気持ちのいい現代空間に改装されている。

上の展示場への階段から網目越しに地上階を見下ろす。

















1925年、31才のときブダペストからパリへ。戦争でNYに引っ越して85年に死んだケルテスは、NYでは不遇だったそう。しかしまぁ、いろんな写真を撮っているけど、どちらかというと若いころの写真がかっこいい。ご当人はかなりこだわっていたらしい、歪ませたヌードのディストーション・シリーズなんかは、どうもピンとこない(ピントは合ってるけど)。


説明板が見当たらず、ネット検索しても作者不明です。

















ジュ・ド・ポームを出て、チュイルリーの土手を行くと、前には無かった彫刻が。でもなぜか少し傾いて立っている。

ケルテスしてみたス。

















また雪が降り始めた帰り道。

ねこにけるてす。
















ケルテスの写真集で復習。この本は1987年のフランス語版。原本はケルテスが死んだ翌年の1986年、ケルテスの愛弟子だった久保田博ニさんがNYのケルテスの家に残されたプリントから選び、岩波から刊行されたもの。フランス版にはケルテスを尊敬していたカルティエ・ブレッソンの序文などが追加されている。 作品の選びも、便利堂の3色オフセット・トリプルトーン(3色)印刷もすばらしい。(宏)

2010年12月21日火曜日

雪、もう飽きた……。

なんだ、なんだ、この寒さは。雪なんかもうイヤだー。
その上、ウチの暖房機が壊れかかってる。契約している暖房機屋に電話したら、雪で車が動けないから出張できないと言われてしまった。
仕方がないから雪景色でも撮りますか。 珍しくもないけど。

パン屋に行く途中の坂道から見たソーの丘。ハリー・ポッターの魔法学校みたいにそびえているのは、名門リセ・ラカナル。
この景色がすごく好きで、パン屋に行くのが楽しみ。



 













雪景色その2:レイモン・デパルドン、の気持。

















雪景色その3:ハリー・カラハン、の気持……。

















お粗末さまでした。ヒマだね。(由)

2010年12月18日土曜日

レイモン・デパルドンの「La France」

昨日は雪の予報だったのに青空が出て、また宏爾と「じゃ、パリに行こうか」。
前から気になっていたBibliothèque Nationaleの写真展、レイモン・デパルドンの「La France」を見に行ったのだ。
彼のドキュメンタリー・フィルムは「Délits flagrants」「10e chambre」とか「Profils paysans」シリーズとか、かなり好きなのだけれど、写真はちょっと緊張感が足りないというかユルイというか、「やっぱりC・ブレッソンのほうがカッコいいよなー」とつねづね思っていたのです。
が、が、なのです。このエクスポジション、すごーく良かった!
















彼が8×10担いで5年かけてフランス中を撮って歩いたものの集大成。「ここ、知ってる」と思える景色がつぎつぎに展開して、気分はロードムーヴィー。それもちょっとうらぶれた、情けない旅路の。
















どの写真も感動とはほど遠い、どこにでもあるふつうの町の景色ばかり。数年後には無くなりそうな安っぽい商店 、時代遅れの映画館、道路に電線……。このショボさがたまらなく懐かしく、せつない。なにしろ私たちの長年してきた旅が、まったくこんな風だったからねー。星付きレストラン&ホテルで旅するヒトには分かりませーん。
















8×10 使っているわりにはキリッとしない(ソフトな、と言わないと悪いかな?)彼の写真の質が、この温度の低い散文的な表現にぴったり。今のこのフランスを撮れるのは、やっぱりデパルドン、なんですね。

見終わって図書館の外に出たら、影響受けやすい宏爾がすっかりデパルドン気分で1カット。まあ見てやってください。
イヴリーのごみ焼却炉の煙。見えるかな?




















そしてバスで中華街に出て、フォを食べて帰りました。(由)
宏爾の食べたのは、あんかけの堅い焼きそば。

2010年12月17日金曜日

サハラ砂漠のナツメの実。

Bagneuxの朝市でオレンジを買っていたら、その奥に珍しいdatteがあるのに気がついた。
datteはナツメ椰子の実。干し柿みたいに天日で干して、お菓子代わりに食べる。ふつうパリ近辺で売られているのは、トルコ産の黒っぽくてねっとりしたものが多いけど、バニュー市場で見つけたのはアルジェリア産の、茶色で枝に付いたまま干しあげられたもの。
値段は17ユーロ/kgくらいでした。

















マグレブの人々にとってdatteは大事な食べもので、クスクス料理店でもよくお茶請けやデザートとして登場する。一年中暑くて食料の保存も難しい砂漠地帯の住民には、カロリーが高く 栄養たっぷりのナツメ椰子の実は貴重な保存食だったんだろうな。
この砂漠のdatte、今まで食べたうちで一番おいしかったのは、夏の終わりに地球研の石山さんがサハラ砂漠からわざわざ担いできてくれたもの。石山さんは、乾燥地帯における食物栽培(?いい加減に聞いていたので間違っていたらごめんね石山さん!)調査のフィールドワークでアルジェリアに行き、その後ブルキナファソに移動する前にウチにdatteを持ってきてくれたのだ。
それは現地の市場で売っているものともまた違う、砂漠に生きる人たちが自分たちで作って食べているdatteだった。甘さがくどくなくて、食べ始めたら止まらない。私は一人で箱を抱えて毎日食べ続けたので、石山さんがブルキナファソから帰ってきたときには、箱いっぱいのdatteはすっかり無くなってていたのでした。(由)

2010年12月16日木曜日

Le Petit Baigneur の夜。


1年半前からパリに来ていて一緒においしいものを食べ歩いたコロリさんが、日本に帰国するので、「最後の晩餐」をすることになりました。
行ったのは、私が「パリ定食屋の鑑」 と認定する14区の「Le Petit Baigneur」。

店内は古いポスターやプレートで飾られている。

















いい定食屋の条件はいろいろあるけど、まずはジャガイモがおいしいこと。今回も気がついたら、私の注文したのはみごとにジャガイモ尽くし。

ニシンのオイル漬けと温かい茹でジャガイモ。

















前菜は、茹でたてのジャガイモにオイル漬けのニシンをのせたもの。生っぽくてちょっとしょっぱいニシンと温かいジャガイモを一緒に食べるのが醍醐味です。

ブランダッド・ド・モリュ。グリーンサラダも付いている。















そしてメインには、やっぱりBrandade de morueを取ってしまった。干ダラを塩抜きして茹でてほぐし、マッシュポテトと混ぜて焼くブランダッドは、自分でもたまに作るけど、やっぱりお店で作ってもらうほうがラクだね。

揚げたてのフライドポテト。















宏爾の取ったアンドゥイエットに付いてくるフライドポテトも、揚げ具合が絶妙で、マグドの冷凍ポテトとは雲泥の差。まわりはカリッとして、かじると中はふんわり。いくらでも食べられる。
コロリはブロッコリのスープ。手前はホウレン草のキッシュ。

















コロリさーん、またパリに来たら一緒にLe Petit Baigneur に行こうねー。(由)

2010年12月15日水曜日

へんな建物と読めない定食。

壁というよりヨロイ、塔というより板かな。






















7区のレストラン取材の後の帰リに撮った、アレージアの南の建物です。
落書きの下の金属製の壁面が、魚の目玉かカエルの口、あるいはCBSのマークを並べたよう。
じつはこれ、ボクの本『パリ右眼左眼』に、“目玉ユニット壁面” として取り上げています。
この本では、うらぶれたパソコン製品、貸ビデオ、中華のテイクアウトの店が同居していると書いていたけれど、今はウロコの下のシャッターがみんな下りていて、JCDecauxの大きな広告パネルが2面。相変わらず、というより、よりうらぶれ〜、です。

昔は何だったのか、教えて下さい。

















で、『右眼左眼』ではウロコ壁面についてだけ書いたんだけど、ウロコの中央から延びた塔には触れていません。でもこれ窓もないし煙突でもない。どうやらカッコウだけのシンボル塔みたい。昔の万国博のパヴィリオンのようにも見える。たぶん60〜70年代に建てられた建物だと思うけれど、自動車屋かなにかだったのかなぁ。もともとは何の建物だったんだろう。

陽射しはキラキラだけど、風は冷たい。
ポルト・ドルレアンのカフェでひと休み。柱の黒板に今日の定食が書いてあるんだけど、これがどうも読めない。目のせい?

あんがいおいしそう。今度試してみます。














Fonds d'Ariictaliis ??
BoeuE Caroves ???
しばらくして気がついた。下のはブフ・キャロットだ。
由紀子も、わかった、上のはアルティショーだ。
そう、この字、 Tやt のタテ棒を長くしない。そしてヨコ棒はずっと上に離れて書いてあるんです。(宏)

2010年12月10日金曜日

バニューの夜明け。

12月09日午前8時の東の空。金星も見えます。


















あと12日で冬至。夜明けが遅いから、寝坊しても美しいバニューの夜明けが見られる。空気のせいか、太陽の角度のせいか、アジアの夜明けと比べて輪郭のくっきりとした、紺青と茜色の、それはそれはゴージャスな夜明けです。夕焼けとはまた違った迫力。これを見るたびに、ああフランスに住んでいてよかった、と思う。
でも今年の冬はずっと天気が悪くて、今朝は久しぶりのきれいな夜明けでした。(由)

2010年12月8日水曜日

雪、雪。


















昼前、中華街のはずれにある漢方薬局で、お腹を暖める“大建中湯”を調合してもらい、外に出たら激しい霙(みぞれ)になった。















これはさっさと帰るしかないと、トラムでシテ・ユニヴェルシテールへ。霙がもう雪に変わっている。















RERに乗り換えてブー・ラ・レーヌに着いたら雪はますます激しくなって、
















バスを待つ人のアタマにも雪。















ウチの前の坂道はクルマもバスも走れなくなって、















1時過ぎには庭木もすっかり雪化粧。でした。(宏)

天天旺。

フランス語の店名は”Chez Dong"といいます。



















マンハイムに滞在中の渡辺典子さんがやって来て、コロリもいっしょに13区の天天旺へ。ここは細木さんに教えてもらった店で、内臓料理もあるパリでは珍しい四川料理店。
定番の羊の串焼き、ウシの胃千切りラー油あえ、あっさり味のブタの血つまりブダン・ニラ炒め、 牡蠣のふわふわ卵、軽く酸味のある白菜炒め、水餃子に冬瓜スープ……。もちろんワインも入れて一人20ユーロ。

ピリ辛の羊の串焼き。











ブタの血のソーセージとニラ。






















外は寒いけどフトコロはそう寒くならず、お腹はぽんぽんでも爽やかで大満足。中華街ならではのノエルの電飾を見ながら、トラムでのんびり帰路につきました。(宏)

タン・フレールの入口。

2010年11月29日月曜日

今日も雪。

雪のソー公園。運河に浮かんでいるのはカモメ。

















月曜日は太極拳の自主練習の日なので、ソー公園に行きました。昨夜降った雪がうっすらと積もって、気温は-1℃。

ここが、いつも太極拳の練習をする白い桜の園。





















空気は冷たいけれど、動いていると身体が温まって、いい気持でした。(由)

2010年11月26日金曜日

初雪だ。キウイの収穫。

リンゴじゃありません。キウイです。


















寒いけれど晴天なので、宏爾とパリで昼ごはんを食べて、HCB(Fondation Henri Cartier-Bresson)でハリー・カラハン展を見て、久しぶりに散歩気分になっていたら、一天にわかにかき曇り、雪が降り始めた。この冬初めての雪。慌てて散歩を中断、家に飛んで帰る。
ウチの庭にはキウイの木があって、今年は今までにないほどたくさん実がなっているのだ。できるだけ長く枝で熟れさせて収穫するといいのだけれど、気温が下がって凍ってしまったらオシマイ。この季節は毎日、天気予報とにらめっこになる。ノエル直前までがんばりたかったけど、やむを得ない。お出かけの服を泥んこOKの庭装束に着替えて、帽子もかぶって、手袋をして、夕闇のなかキウイ摘みに出陣。
雪を戴いたキウイを摘んでいると、あっという間に手袋はびしょびしょ。手の感覚が無くなってくる。それにしても、今年のキウイはなんて大量! 暗くなるまで採って、やっと作業終了したけれど、どうも10kg以上はありそう。
ジャガイモじゃありません。キウイです。















まだ堅くて、暖かいところで追熟させないと食べられないので、屋根裏の板の棚に広げて置きました。食べられるまで1カ月くらいかかりそうだけれど、おいしいのだよ、ウチのキウイは。朝ごはんが楽しみ、楽しみ。(由)

2010年11月23日火曜日

自然史博物館と勝井三雄さん。

グランド・ギャルリ。絶滅の危機にある動物の展示室

















グルノーブル郊外エシロルでのグラフィック月間20周年記念で開催中の“勝井三雄のアトリエ”展のために勝井夫妻が来仏。グルノーブルに向かう前日には、プチ・パレとケ・ブランリ美術館、それにル・コルビュジエのロシュ邸に案内した。
現地での行事を終えた22日、再び朝からパリ探訪へ。
勝井さんが見たかったゴブラン織製作所は残念ながら休館日。でもせめて建物だけでもということで、とりあえず7号線でゴブランへ。裏手の通りの古い建物の窓越しに、大きな織り機で作業しているようすだけ覗いて、なんとか納得していただく。
次は、完成した直後に見たグランド・ギャルリを、ということで植物園へ。でも「照明や音響がもっと劇的だったなぁ、後で置かれた解説用モニタが目立ちすぎるし、あの時の感動はないなぁ」と。うーん、確かにそうかも。でも当時は照明が暗すぎて小さな字の解説がまるで読めなかったんだよね。
で、続いて恐竜やクジラの骨が並ぶ古生物展示館へ。ここは昔ながらの博物館という雰囲気がいっぱいで、個人的にはグランド・ギャルリより好きな場所。勝井さんもすっかり気に入って、写真を撮りながら化石の並ぶ2階も3階もくまなく見て回る。
クジラの骨と80近いけど元気いっぱいの勝井さん。

















午後はクリュニー中世美術館で『一角獣と貴婦人』を見て、さらにポンピドゥ・センターへ回り、展示替えされた近代美術館をゆっくり見て回った。
明日はユーロスターでロンドンへというお二人。なんと今日が結婚ウン年記念日だったということで、沙子さんご所望の牡蠣と白ワインで乾杯。ほんとにいつも変らずボン・サンテの勝井さんでした。(宏)

2010年11月21日日曜日

ナンテールの病院で小曽根真さんのピアノ。


日本文化会館で広報の仕事をしている綾さんから、ナンテールの病院で小曽根さんが無料コンサート、外部の人も聴けるから早めに、という知らせ。これはとにかく行かねば、とナンテール・ヴィルへ。駅からのバスは、殺風景とはこういう風景か、という地区を抜け、古い病院の前に着く。ここは昔から、住む家のない人々も受け入れるフランス唯一の施設で、会場は長い長い渡り廊下を歩いた先だという。木造の廊下の天井は白地に赤のペイント。壁には大胆なグラフィックパターンのパネルが並んでいる
何て長い廊下。ナンテールの病院は19世紀末の建築。

















で、何人かの人に訊ねてたどり着いた会場は、養老院棟の食堂だった。開演の14時30分が近づくと患者さんやお年寄りが続々と集まって来る。車椅子の人も多い。窓の外には病院付属のノラネコさんも聴きに来ている。

右にいるのもネコです。まんとひひだなんていわないで。







  








翌20日にはサル・ガヴォーで6人のピアニストによる演奏会があるという小曽根さんは、この無料コンサートのため空港から直行してきたという。広い食堂の中央に置かれたピアノを、何が始まるのかと興味深げな目が遠巻きにしている。
オリジナルからスタンダードのジャズ、小曽根さんがジャズピアノを弾くきっかけになったという『枯葉』、それにこないだスコダがアンコールで弾いたショパンの『プレリュード第4番』…最初は小曽根さんのピアノになんとなく反応の乏しかった人たちだけれど、「ボクが小さかったころ、父が弾いていたのを憶えている曲です。でも間違えたらごめんなさい。弾くのは40年振りだから」と前置きしたピアフの『バラ色の人生』が始まると、ピアノの脇にいた車いすの老人が小さな声で歌い始めた。それに向かいの老人がしっかりした声で唱和する。そして、ついには食堂全体がひとつになっての大合唱になっていた・・・。
予定の1時間をはるかに超える演奏が終ると、ピアノの周りには、小曽根さんに「メルシー」を言いに来る人がいっぱい。
小曽根さん(綾さんも)ほんとにありがとう!
なんていい音楽会。食堂には150人もの人たちが来ていた。















小曽根さんは、サル・ガヴォーのコンサートの翌日にはポーランドへ。でも、来年の4月5日にはクレルモン・フェランでオーヴェルニュ管弦楽団との共演。夏には、プロヴァンスのLa Roque d'Antheron国際ピアノ・フェスティヴァルに、井上道義さんが率いるオーケストラ・アンサンブル金沢とともにやってくる予定です。(宏)





2010年11月15日月曜日

10ユーロでバドゥラ=スコダ聴いた!















フランスに来てから、映画と展覧会には気軽に出かけるけど、コンサートにはあまり行ったことがない。席を予約するのもよくわからなくて面倒だし、だいいち値段が高いよ。
と思っていたけど、一昨日、17区のSalle Pleyelっていうところで、なぜか本格的にクラシックのコンサートを鑑賞しました。知り合いの知り合い(馬場法子さんという方です。私はまだお会いしたことがないけど)の曲を初演するというので、夫と「それじゃ、行こうか」。
ネットの前売りはソルド・アウトみたいだったので、当日券売り場に並んだら3階バルコンの2席がすぐ手に入った。10ユーロで、舞台全体がよく見渡せるし、前後左右の席から離れていてのびのび座れる、ラッキー。83才のバドゥラ=スコダがベートーヴェンのピアノコンツェルト4番を弾く、というのが目玉だったみたいで、観客の平均年齢が異常に高かった。貸し切りバスで到着のお年寄り団体がいたのは、もしかしてファンクラブ? でも初めて入ったサル・プレイエルは、改装して間もないということで、上品なアールデコ建築がとても美しかった。
10ユーロの席でもじゅうぶん楽しめる、ということがわかったし、それに28歳以下と65歳以上は開演30分前以降、空いている席を10ユーロで購入できる、というシステムもあることを発見。私も来年はこの特典を享受できるのです。あはは。ちなみに、宏爾さんはもうとっくに資格があるんだよ。フランスは年寄りには住みやすい国だ。
この10ユーロのコンサート体験、なかなか楽しく演奏もよくて,今後ハマりそうな気がしました。だけどひとつだけ興ざめだったのは、観客の緊張が足りないのか、みんな演奏中に平気で咳をする。フランス人って自分勝手? それとも年寄りが多いせいかなー。(由)