2011年1月26日水曜日

憤慨する93才の本。

寒いとは言ってもなんとなく春っぽい雨の夕方、サン・ミシェルへ。

雨に濡れたサンタンドレ・デザール広場。

















サンタンドレ・デ・ザール広場に面したアパルトマンで用を済ませて、ミシュランの緑のイギリスガイドを買おうと、サン・ミシェル広場の書店ジベール・ジューヌに入ったけど見つからない。で、リュクサンブール寄りのジョセフ・ジベールに回る。この2つ、もとは1864年創業の Gibert が、息子の代になって分かれたという大きな本屋。で、ジョセフのほうにも新刊はなかったけど、幸い “occasion” のが1冊だけみつかった。要するに古本。両方とも新刊とともに古本も並んでいて、時には貴重な古本が見つかることもあるのです。

買った2冊。下の隅に古本シールが貼ってある。
















で、ついでに今評判の “INDIGNEZ-VOUS !”を見つけた。
この『憤慨せよ!』というタイトルの小冊子は、元レジスタンスで、戦後は外交官として国連の人権宣言作成にも参加したという93才のおじいさんが書いたもの。
去年の10月に出版されたこの32ページ、3€の本が、以来フランスの新刊本の売り上げ部数のトップを独走している。

裏表紙の Stephane Hessel さん。

















著者ステファン・エッセルはベルリン生まれのユダヤ人で7才のときにパリに移住。フランス人としてロンドンの亡命政権自由フランスに参加した後、本土でレジスタンス活動。ナチに2度捕まり、収容所にも送られている。
この本は、そういう自分の経験をもとに、格差を生み弱者を放置している社会、世の中に満ちている不正に目を向け、それに対して闘うべきだという、若者たちに向けたメッセージです。

巻頭のクレーの天使。ベンヤミンのものだったという。

















ご当人は91と92才のときにはガザ地区を訪問して、パレスチナ住民に対するイスラエル政府のやり方に強く憤慨している。

ぼくもフンガイされるかな?


















日本では『怒らないこと』という本が売れてるらしいけど、フランスの老人は『憤慨せよ!』で、それがベストセラーというのも、なんかいい。ね?                      

2011年1月21日金曜日

Téléramaの映画週間

今週の(由)はたいへん忙しいのです。
ウチはテレビ・文化情報週刊誌「Télérama」を定期購読しているのだけれど、19日(水)から1週間、そのTélérama主催による「Festival Cinéma」つまり映画祭が催される。
このキャラがTélérama映画欄の象徴。評価によって表情が変わる。

















昨年中に封切られた映画の中から、読者と批評家による投票で選ばれた16本の映画を共催の映画館で上映するのですが、Téléramaの中に挿み込まれた用紙に記入して窓口で出すと、映画週間の期間中どの映画も3ユーロで見られる優待券がもらえる。1枚でお2人様まで有効。
左の開いたページが上映館の案内で、上に乗っているのが優待カード。

















見逃していた映画をこの時とばかり、見まくるのです。今回は16本中7本しか見ていなかった。基本1日1本と決めているので、毎日がんばれば7本が見られる勘定。でもそこまで見たい映画があるかどうかは微妙…。とりあえず水曜は「The social network」、木曜は「Tournée」見ました。いつもは閑古鳥の名画座も、この時は開演前から長蛇の列。満席で補助椅子まで出たよー。
これはオデオンのAction Christine。観客の年齢層が高い。

















今日はダンフェール・ロシュローで「Mysrères de Lisbonne」に挑戦します。4時間半の超大作。がんばるぞー。(由)

2011年1月17日月曜日

霧の運河

今日のソー公園は霧だった。朝の9時45分、気温は3℃。運河には鴨の群れが浮かんでる。
ソー公園はいつもモノクロになってしまう。

















でも、午後になったら気温が9℃まで上がって、うちの庭の隅には気の早いサクラソウが花を開きだした。でも水曜日からまた気温が下がって冬になるんだって。かわいそうにね。(由)
いつの間にか種が飛んできた野生のサクラソウです。

うちの朝ごはん

11月の末、雪の中で収穫したキウイが、やっと食べごろになりました。
毎朝柔らかそうなのを選んで皮を剥いて、ついでに、これも今がいちばんおいしい生食用のオレンジとエルスター種のリンゴを一緒に食べやすく刻んで。甘みと酸味が強くて、売っているキウイの何倍もおいしいよ。
これで2人分だけど、4人の時も面倒くさいから同じ量。

















パン屋が近くにないし、宏爾は寝坊でパンを買いに行くために早起きなんかしないので、買い置きの田舎パンかトーストにバターとジャム。それに挽きたてコーヒー、ハムとカスピ海ヨーグルト。果物は季節によって変わるけど、あとはいつも同じ。十年一日のごとく一緒。
モカはたしか日本では輸入禁止だけど、フランスにはまだ売っている。

















でもジャムにはちょっと好みがあって、宏爾は眼がよく見える(?)ようにブルーベリー、私は栗か牛乳ジャムが常に欲しい。それに庭で採れた果物のジャムもよく登場します。
左からNemoursの芥子の花のジャム、栗ジャム、庭のアンズジャム。

















ちなみに、バターは朝市で買ってくる量り売りの有塩バター。たぶんIsigny産だったと思う。(由)

2011年1月10日月曜日

くまととくとー。

日本では「織部」ともいう。ロシア原産という説も。

















バニューの朝市に行ったら、八百屋に黒いトマトがあった。数年前からフランスでも日本でも見かけるけど、スイスの業者が世界に広めたらしい。

子音と母音を繰り返す日本語は誤記が多いけど。

















で、これ「KUMATO」って書いてある。
クマト? 日本語みたい。熊本のマチガイとか? でもアメリカでもやっぱりKUMATOというし、語源は「黒トマト」という説が有力らしい。1キロが3.95ユーロはちょっと高いので、買うのはやめました。

冬はいろんな貝類のシーズン。

















魚屋に行ったら、いろんな貝の中に「クトー」があった。 訳すとナイフ、包丁。日本のマテ貝や揚巻きの仲間。
 (由)が前にマレのスペイン料理屋で食べたのがやたら美味しかったので真似してみると言って、500gほど買いました。

サービスでくれたパセリを散らして。

















ニンニクとオリーヴで炒めたのがこれ。白いごはんを添えて汁を絡めたら、ほんと、もう言うことなしにおいしかった。 (宏)

2011年1月6日木曜日

バニューの丘から朝焼けを見た。

1月5日の朝8時15分、(宏)と(由)はわが家のすぐ上の rue des Tertresを歩いていました。ここはバニューの丘のてっぺんで、ふと振り返ったらすごーい朝焼け。
飛行機雲がピンク色。左のクレーンはウチの隣に建設中の小学校。















この場所には去年の2月まで巨大なHLM(低家賃公共住宅)が建っていた。だからこの絶景は、そこの住人しか見られなかった。
そもそも、我々がなぜこんな朝早くにここを歩いていたかというと、そのHLMが取り壊され、いまその跡地に新しい集合住宅や学校を建てつつあるのだけれど、その工事の騒音や振動がヒドイので、近所の住民たちが集まって文句を申し立てるため、でした。
取り壊し中のHLM。ダイナマイトを使わず、少しずつ壊した。

















このHLMは長さ368mもあって、たぶん1000人を超える人々が住んでいた。不法居住者や麻薬常習者が出入りし、警察沙汰も多くて長年問題視されていたのでした。その隣に住んでいるウチには、10年間なんの問題も無かったけれどね。取り壊した後は緑地の中に低層アパートが建つらしい。
開発計画の説明看板。向こうはソーの丘とブー・ラ・レーヌ。

















平日の朝で、集まった住民はたったの6人。工事の振動で家が震える、トラックの出入りが激しい、だいたい工事についての説明がない、と文句を並べたけれどなんかテキトウにあしらわれた。この国では、専門家の鑑定を突きつける、という手続きをしないと相手にされないらしい。悔しいー。すっかり夜が明けて陽が照ってるテルトルの道を、トボトボと帰りました。(由)+(ダジャレは宏)

2011年1月4日火曜日

ヘンリー・ムーアとロダン。

大きいことはいいことだ。金ドームはアンヴァリッド。
















ロダン美術館でヘンリー・ムーア展をやってる。
ムーアのデッサン。彫刻家らしい魅力がある。














ムーアの抽象形体は、アルプなんかのほんとに抽象的なカタチとは違って、なんとなく、“骨の図案化”みたいに見えてしまう。


ロダン『水盤の妖精』。

















ロダンにはいつも、へぇ、こんなのもあるんだ,という発見がある。 これなんか今まで気づかなかった、やさしいお尻。

で、美術館を出ると、道端の街灯の支柱にカラフルな水玉模様が・・。 

さすが美術館、これも演出?












近寄って見ると、この色マル。




















美術館の無料入場者が胸に貼る小さなシールなのです。美術館を出てきた学生たちが街灯の支柱にペタペタと貼っていったもの。去年は貼り重ねられてもっともっと派手だったんだけれど、柱の塗り替えですっかり剥がされたみたい。今は少し寂しいけれど、ジーズンにはまたカラフルになると思います。(宏)

2011年1月2日日曜日

おめでとうございます。

例年通り、おせちをつくりました。

失敗その1:豚の角煮を作っていて、途中で庭に出て太極拳の初稽古をしたら、気持よくて時間を忘れ、焦がしてしまった。せっかくおいしくできていたのに、1/4を捨て、残りも形がボロボロになりました。これ、去年も同じ失敗をした。
でも、味は良かったよ。

















失敗その2:伊達巻きを作るのにいつも使っていたテフロンのバットを、ベコベコになったのでつい捨ててしまっていて、陶製のオーヴン皿で焼いたら、皮が剥げてパニックに。でもその割にはうまく仕上がったでしょ。
伊達巻きに塩鮭。日本だったら簡単に手に入るのだけどね。

















これは失敗ではありません。宏爾手製のきんとん。毎年作っているけど、今年のはなかなか味が良かったです。
派手な色は、イスラエル産のオレンジ色のサツマイモのせい。

















というわけで、家族揃っておせちを食べたのでした。今年もよろしく。
煮物やなますもちゃんと作りましたよ。