2012年6月7日木曜日

ナンテールの病院で小曽根真さんのピアノ、再び。

ナンテールの病院で小曽根真さんのコンサート。2010年の11月に続く2度目の無料演奏会です。前夜、シャンゼリゼ劇場でパリ室内管弦楽団との共演を聴いたばかりのあやかさんと(由)との3人で、ナンテール・ユニヴの駅からのバスで病院へ。
19世紀以来の病院です。











会場の食堂へ向かう人たち。























一昨年の小曽根さんのコンサートがきっかけで、その後連続コンサート"PIANO/CASH“ として、ふだん音楽会などへ行くことのできないここの老人ホームの人たちや入院患者のために、何人もの一流ピアニストたちがこの場で演奏してきた。2011〜12年のシリーズの締めくくりとして、再び小曽根さんの登場というわけです。
前夜、シャンゼリゼ劇場でのコンサートを終えた小曽根さんは、ここに戻ってこられてとてもうれしいですと、オリジナル曲 "reborn" から演奏を始める。ピアノの響きに、前回をはるかに上回る数の人たちがみるみる引き込まれていく。
France5 のTV取材陣も来ていた。

















『聖者の行進愛の讃歌バラ色の人生』では、皆が大合唱。今回は近所の小学生も聴きに来ていて、小曽根さんが「踊りたくなったら踊ってね」というと、ショパンの『子犬のワルツ』、白雪姫の『いつか王子様が』に合わせて楽しくダンス……。
地域の人たちに“開かれた病院”なのです。

















演奏が終っても、私が歌います、という人が次々出てきて、ピアフをアカペラ。「ぼくの宿題。次回はシャンソンをたくさん弾けるようになってきます」と小曽根さん。
車椅子で歌うおじいさんと耳を傾ける真さん。

歌うおばさんと聴く真さん、通訳のあやさん、司会のドミニク。


 




























小曽根さんはピアノそのものはもちろんだけど、聴く人に語りかけながらその気持ちの動きを汲んで演奏していくのがすごい。そして、その真さんの言葉を即座に的確なフランス語にしていくあやさんもまことにすごい。一緒に行ったあやかさんがあやさんのあざやかさにあやかりたいと感動してました。
病院の庭。
















夜にポンピドゥ・センターそばの四川料理屋で慰労会。集まったのは、小曽根さんに続いてこのPIANO/CASH で演奏したシャニ・ディルカさん、この催しを企画したドミニクとあやさん、チェリストのエリックマリア、映画撮影監督の永田鉄男さんなど。羊の串焼き、辛い内臓スープで夜が更けました。(宏)

2012年6月3日日曜日

ソー公園の住人。

いつも太極拳の練習をするソー公園の白い桜の園に、一匹の赤毛のリスが住んでいます。いや一匹なのか、家族で住んでいるのかは分からないけど、姿を見せるのは常に一匹。
右の桜の木に住んでいるらしい。今はぼーっと油断している。

















人けがないと木から降りて来て、芝生の中を駆け回っている。犬の散歩なんかも多いのに、わりと大胆。でもうっかり音をさせると……。
走る、走る。長い尻尾がみごとですね。

















 パーッと走って左側の桜の木に駆けのぼる。降りてくる木も登る木も、いつも決まっているみたい。 幹の中に巣があるのかな。
ソー公園には鳥もたくさんいて、準備運動でじっと気を集中していると、何種類もの鳥の鳴き声が聞こえてくる。でも鳥の写真を撮るのはすごーく難しい。ウチの庭にはカササギがたくさん来るのだけど、いつも惜しいところで逃げられてしまうのです。(由)

2012年6月2日土曜日

今年も庭は花盛り。

いい季節になって、嬉しい、嬉しい。この時期にフランスにいると、なんかすごーくトクをした気分になりますね。
春に寒さが続いたので、スズランも桜も例年より1〜2週間おそい開花だったけれど、いまや庭は百花繚乱。 夕方になるとスイカズラやバラが強く香ります。ジャスミンも梅花ウツギも咲き始めたよ。
垣根の蔓バラは、あんまり匂わない。

















(宏)が、指に刺さったとげを放ったらかしにして、 それが化膿して手術したので5月いっぱいは手が使えず、庭は植物が伸び伸びと好き勝手に育ってしまった。ガーデニング的にはちょっとヒドイ状態だけれど、廃墟趣味で見るとなかなか風情がある。
植物は岩よりも強し。カンパニュラは中でも強し。

















残念なのは、サクランボが年々不作になって、今年はついに、人間の口に入ったのはわずか3粒! 花は立派に咲いたのだけれど。このまま枯れてしまうのか、ちょっと心配。サクランボ・パーティーを期待している皆さん、今年もダメでした。ごめんなさい。
それに比べて、がんばっているのはキウイ。イヤイヤまだ花の段階だけれど、たくさん咲きましたよー。12月にはまたどっさり収穫できることでしょう。(由)
毛むくじゃらな実に似合わず、優雅な花なのです。

2012年6月1日金曜日

都市と交通展。

シャイヨー宮の東翼を占める建築・文化遺産センター「シテ・ド・ラーキテクチュール・エ・デュ・パトリモワーヌ」は、フランスの歴史と建築を知るには見逃せない場所です。1階には、フランス全国の主なロマネスクやゴシック教会の正面扉口を飾る彫像や浮き彫りなどを、そのまま石膏で型取りした彫刻群が並び、上階には中世壁画の原寸大レプリカ、そしてペレやル・コルビュジエを初めとする近・現代建築資料の展示がある。
ヴェズレー、サント・マドレーヌ前室のタンパン。

















ここの地下にある企画展示コーナーで "Circuler. Quand nos movements façonnent les villes." という大展覧会をやっている。
入口。交通の最初は歩くこと。
















要するに都市交通の歴史と問題をいろんな角度から見るという展示。
中世の港。河川と海の水運。











コーナーごとになかなか凝った展示。























ユートピアのコーナーにあった、1933年にバックスミュンスター・フラーが考案した「ダイマクション・カー」の模型など、おもしろいものがいくつも見られました。時速140kmを記録したという11人乗りのこの3輪車。省エネで小回りがきくけれど、安定性の問題で、残念ながら実用化されなかったそう。
デザインはイサム・ノグチ。












でも,東京の展示があるわけじゃなかった。





















模型や写真、映像、見せ方にいろんな工夫がしてあるのだけれど、なんとなく総花的で、何を言おうとしているのかが今ひとつわからない展覧会だった。
シャイヨ宮とエッフェル塔。展覧会は8月26日まで。











ハトを持つ金ピカ彫刻にハト。






















 外は、いきなりの初夏の陽気。
すっかり夏姿です。

















帰りのRERの電車は、1980年代から使われている中古品。もちろん冷房無しでほんの少ししか窓が開かないから、夏は蒸し風呂温室状態になる。展覧会のスポンサーになってるRATPさん、こっちも改善して下さい。(宏)