2013年6月27日木曜日

三本脚の椅子。

3週間前のこと、(由)は棚に蒸し器を載せようとして椅子から転げ落ち、椅子の脚で胸を打って肋骨にヒビが入ってしまいました。
いつも台所で食事時に使っている3本脚の椅子に、ヒョイッと不注意に乗ったのがいけなかった。でもふつうに動けたので、大したことはないと思っていたのだけれど、念のため数日後に病院でレントゲンを撮ってもらったら、「あ、折れてます」だった。といってもコルセットもテーピングも不要で、3週間経てばくっつくから大丈夫、太極拳の練習もOKというので、ひと安心。
で、あっという間に3週間経ちました。今日からもうフツウの健康体だぞ。
でもカワイソウなのは3本脚の椅子。たしかに食事のときにも、ちょっと体重を片方にかけるとグラッと倒れそうになったことは何度かあって、(宏) は「危ないねー」と言っていたのです。事故(?)のあと、「もうぜったい捨てる!」と宣言されて、車庫の隅の大ゴミ置き場に持っていかれてしまった。
2脚セットで、すごーく頑丈な作りなんだけど…。
何年か前のフォントネー・オ・ローズの青空市で1脚2ユーロで買った椅子。 4センチくらいある部厚い木を組んだ、ちょっとシャルロット・ペリアンな形が好きで、重いのを一生懸命ひとつずつ抱えて持って帰ったのです。捨てるには忍びない。でも「捨てなかったら、ぜったいまた乗ってひっくり返る!」と怒られた。哀しい。(由)

2013年6月26日水曜日

ひと月遅れの初夏。

ソー公園に行ったら、運河に鴨の親子が泳いでいました。平年なら4月か5月、桜の季節に姿を見せる小ガモたち。今年は見ないなーと心配していたので、ホッとひと安心。
なぜか親鳥たちが4羽もいる。2組で3羽しか育たなかった? 
ウチの庭の胡桃の実も、いつもなら夏至のころに大きく膨らむのに、今年はまだ小さい。でも数だけはたくさん生っているので、このまま成長してくれるといいなー。
胡桃酒を作るには、夏至の前日に青い胡桃を採るのだって。
 胡桃の木の下のテーブルと椅子も、やっと出番が来たみたい。お客さん、来てください。ポルトガルの発泡ワインが用意してありますよ!
まだパラソルが必要なほど、日射しが強くないけど。
ダマスクローズ。ウチでは通称「花笠音頭」。
クロタネソウ。この後、風船みたいな実が生ります。
ジャスミンが今年は元気に咲いている。いい匂いです。
というわけで、なんとか夏が来そうかな? もうすぐ7月だよ?(由)

2013年6月25日火曜日

どしゃ降り。

モベールの広場で大根や醤油を買って店を出たら、いきなりの強い雨。あわてて角のカフェに避難しました。
ものすごい降り方です。












早い雨足に追われるナマ足です。





















近ごろのにわか雨はランボーすぎる。だいたい、あの明るく爽やかな6月のパリはいったいどこに行ってしまったんだろう。(宏)

ライ・レ・ローズのバラ園と草上の音楽会。

あいかわらずはっきりしない空もようの午後、駅前でアヤカさんと合流して駅の向こう側の町ライ・レ・ローズの丘のバラ園へ行きました。
およそ3300種ものバラが集められている。












八重の桜みたいな白バラ。

時おり雨雲、バラにバラバラっとにわか雨。




















大きなバラの木の下で。


































春からの寒さとこのところの強い雨にたたかれて、本来ならもっと華やかなバラ園が、やや侘び寂びの気配で、だったのがむしろ好もしかった。
 バラ園の周りの森からジャズやレゲエの音が響いてきた。この日はフェット・ド・ラ・ミュージックだったのです。
 芝生に張られたテントでは、子どもたちにいろんな楽器を体験させている。
無心に演奏するドラマーくん。











草上の演奏会。1曲終ると次と交代です。






















芝生では小さな音楽家たちの発表会。バイオリン、チェロ、コントラバス、フルート、クラリネット、みんなちょっと緊張して、でもどこかのどかな音楽の日でした。(宏)

2013年6月19日水曜日

ペレ、ル・ランシーの教会。

パリの北東の郊外ル・ランシーにある、ペレ初期の代表作ノートルダム・デュ・ランシーを見てきました。
北駅でRER-E線に乗り換えて15分ほど、ル・ランシー(Le Raincy-Villemomble- Montfermeilというやたら長い名前)の駅で降り、とりあえずは駅前のカフェで、じゃがいものピュレが添えられた厚切りの温かいローストビーフの昼ごはん。手抜きのない味と田舎値段で満足です。カフェで教会への道を聞くとじつにカンタン、そこのレジスタンス大通りをまっすぐ行くだけ。
駅前から北に延びるその大通りは、みごとな並木道で街並も落ち着いた地方都市のよう。ガラが悪いといわれるヌフ・トロワ(93=セーヌ・サン・ドニ県)の町だけど、19世紀まで大きな城があった伝統か、この道を歩くかぎりではどこか風格さえ感じるくらいで、ちょっと期待? 外れです。
並木の大通りから引っ込んでペレの尖塔が見える。

















ル・ランシーのノートルダム教会は、鉄筋コンクリート建築の父オーギュスト・ペレの傑作として知られている。第一次大戦後、労働者の住宅地として急激に増えた人口に対処するために建設された教会です。
塔の高さは50メートル。正面にブールデルの浮き彫りがある。

















ペレは1915年に、資金難で中断していたシャンゼリゼ劇場の工事を引き継ぎ、コンクリート建築にすることで完成させている。このル・ランシーの教会が、通常の教会建設費の1/6という低予算で実現できたのは、シンプルな構造と当時画期的だった打ちっぱなしのコンクリートの採用によるもの。しかもペレは設計を1か月、工期わずか13か月というスピードで完成させている。“安い、早い、うまい” のペレ乃家です。ただし、コンクリートの質と施工に問題ありだったようで、傷みがひどく、1980年代に徹底的な修復工事が行われている。
それはともかく、この教会がすばらしいのは、四方の壁に広がるステンドグラスが創りだす色の光にあふれた空間です。
幅26メートル、奥行き56メートル。
















東向きの正面入口から堂内に足を踏み入れると、黄色を主調にした左右の光の壁面が、内陣の青い光の壁面に向かって、微妙に変化しながら続いています。この内陣の青い色は、シャルトル大聖堂のシャルトル・ブルーを模したもの。
床は内陣に向かって緩やかに下がっている。光の壁面と壁から独立した円柱の連続が、空間を実際よりも広く感じさせる。
南面(左側)。 















ゴシック教会の束柱のような円柱は、高さ11メートル、直径43センチ。細い! 地震が無いからです。アーチ型のステンドグラスそれぞれの中央を飾る具象的な絵柄は、ナビ派のリーダー、モーリス・ドニの作で、第一次大戦のマルヌの戦いをテーマにしたもの。
内陣への階段。手すりがデコっぽい。
















でも、ドニの絵柄より、微妙に変化する色彩のトーンと、正方形の枠にはめられた抽象的な図柄がだんぜんいい。制作したのは、女性のステンドグラス作家マルグリット・ユレです。
東面正面扉の脇はほのかな緑色。











蠟燭も控えめになってる。











微妙な色と形の調和がすごい。




























このペレ+ユレ・コンビは、第2次大戦後にペレが手がけたル・アーヴルのサン・ジョセフ教会などでも組んでいる。
ペレの建物はどちらかというと地味で、ときにはやや暗い印象のものが多いけれど、この “コンクリートのサント・シャペル”といわれるル・ランシーの教会はほんとにきれいで、まさに珠玉の建築です。(宏)

2013年6月18日火曜日

アントニーの小さな家。

16日の日曜日、アントニー市ジャスマン通りの小さな家で、トマとノリコさんの引越しお別れパーティーがありました。トマとノリコさんはコレーズ県 Tulle 近くの田舎に家を買って、この小さな家から引っ越してゆくのです。
(宏)と(由)も、豚肉紅茶煮持参でこの集まりに参加。なぜならこの家は、1990年から1996年まで小さかった子供たちと暮らした、思い出いっぱいの家だから。バニューの宿に越してからも、トマとノリコさんを訪ねてよく行っていたので、もうこれからは訪れることもないのだ、と思うとちょっと寂しい。
暑くて天気がよかったので、庭でパーティーです。
 入り口の階段の下には小さな物置があって、そこは子供たちの玩具とマンガ置き場になっていた。大人がやっと座れるくらいの狭いスペースだったけれど、子供たちはヒマさえあればそこにもぐり込んでマンガを読んでいたっけ。いろんなコトがあったなー、この家で。
右の離れとその奥の小屋は、トマの仕事用のアトリエ。
ご馳走は巻き寿司にほうれん草の白和え、カレー……。
名残り惜しいけれど、トマたちは元農家だった大きな家で本格的にモノ作り中心の暮らしを始めるのだから、拍手で送りましょう。Tulle にも遊びに行くね!
これが田舎の家。すごく広くて緑いっぱいの別天地みたい。
 ブノージュ村に続いてコレーズにも田舎ができたと思うと、うれしい気分が湧いてきたぞ。(由)

2013年6月12日水曜日

デヴィッド・リンチのエスプレッソ・キット。

バスティーユの東に去年オープンした "Le Lieu du Design" というデザインの展示場に行ってみた。サン・タントワーヌ通り74番地。この辺りに多い静かな中庭に面した、古い家具製造のアトリエだったところです。
1885年の建築です。

















「デザインの場所」 というこの施設は、イル・ド・フランス地方圏が、デザイン関連企業やデザイナー団体と共に作ったらしい。きれいに改修された建物には、デザイン関連企業が集められている。そう広くはない展示場では今、“Mineral Design” という、セラミックやガラス素材のモノの展覧会をやっています。
食器,トイレ、ドアノブ、照明……と並ぶ中に、「パリみやげ」という、敷石にガラスの柄を付けたユーモラスものや、nendo (佐藤オオキ) によるちょっと幻想的な照明+花器もありました。
階段。展示室は地上階に。











パリみやげ。ナンシーみやげもある。











中のものが見えたり消えたりするnendoの作品。




























そしてコーヒー好きのデヴィッド・リンチがデザインしたというエスプレッソ・キットもあった。
2007年のデヴィッド・リンチ展の時に作られた。















これ200個限定品らしいけど、リンチの泰斗タキやんは持ってるのかな。(宏) 

2013年6月11日火曜日

マルセル・ブロイヤー展。

Cité de l'architecture & du patrimoine (建築・文化遺産センター) で、「マルセル・ブロイヤー (1902-1981) デザインと建築」展を見ました。パイプの組み立て椅子ワシリー・チェアで有名なマルセル・ブロイヤーは、バウハウスの出身で先生にもなった。大学で バウハウス流の造形教育を受けた(由)と(宏)は、バウハウスと聞くと、なんとなく懐かしくなってしまうのです。
ホイットニー美術館(1966)と長椅子(19432)。

ブロイヤー邸1(1947)






























1925年にワシリー・カンディンスキーのために作ったというパイプ椅子などたくさんの椅子と、アメリカに亡命してから設計した建築の模型がいっぱい並んでいる。
7区のユネスコ本部の設計後に作ったデカイ建物より、最初の自邸など小さい建築のほうがいい。
でも、代表作のホイットニー美術館の窓に見られるような、打ちっぱなしのコンクリートの壁に付けられた幾何学的なアクセントが魅力的。プラハのキュビスム建築を思わせます。(宏)

2013年6月8日土曜日

ヤンのお父さんの映画。

先週の火曜日のこと、ベルヴィルからサン・マルタン運河へ向かう途中、サン・ルイ病院の脇で、kyのマキちゃんとヤンに出会った。この日の夜にはレアルのジャズクラブで、マキちゃんとピアノのステファンのライヴを聴くことになっていたからびっくり。でも2人とも沈んだ顔。白血病で入院しているヤンのお父さんの具合があまりよくないらしい。
なんとそのお父さんが作った映画が、その翌日に公開されるというのに、なのだ。
後半ヤンも加わったコンサートではさすがプロ。2人ともまるで何も無かったように演奏していい感じで終わりました。
後日ヴァヴァンの映画館で、その映画 "De l'usage du sextoy en temps de crise" を観ました。
ブルターニュの海岸を歩く姿が繰り返し出てくる。















監督、つまりヤンのお父さん自身が主演するドキュメント・フィクション。入院してガンの宣告を受け、手術,退院,再入院という自分の状況と恋人との交流を中心に、彼の過去のドキュメントフィルムなどを織り込んだ自伝風の映画。かなり重いテーマだけど、ご当人が淡々としていて嫌みのない作品だった。
ラストシーンもここ。















で、ヤンがこの映画の音楽を担当している。ラストシーンに流れるテーマ曲はマキちゃんが歌ってます。

見終わって ゲーテのカフェでひと休み。長く寒かった日々が終わって一気に明るい初夏の日差し。ヤンのお父さんもこうなるといいですね。(宏)
ようやくパリの初夏らしくなりました。











2013年6月6日木曜日

パリのメトロのキョンキョン。

カンヌで是枝監督が審査員賞取って、映画の季節もピークを過ぎた感はありますが、パリでは先週、今週と2回に分けて黒沢清の「贖罪」2部作が封切り。メトロの駅に、キョンキョンのどアップ写真のポスターが氾濫しています。
RER B線のラプラス駅。ここは1枚だけ張られている。

ホントはこんな風に2枚、対になっているのです。
しかし、キョンキョンも歳だね。こんなアップにしちゃうのはちょっとカワイソウ。先週封切り分の第1部は見たけど、黒沢監督は、前作の「東京ソナタ」と違って今回は作り物に徹している感じで、まあいいか、というところですね。
(由)は口論映画が好きで、イランのアスガル・ファルハーディ監督の「Une Séparation」がとっても気に入っていたのだけど、新作の「Le passé」はフランスが舞台のせいか、「あーあ,またフランス女がキャーキャー言ってる」という部分もあり、ちょっと残念だった。日本映画はというと、どうも口論がうまく噛み合わなくて「え? そうなっちゃうの?」という展開で、呆れることが多いのです。じょうずに口論させているのは、是枝さんと橋口亮輔監督くらいかな?
ところで、このあいだメトロ2番線に乗っていたらきれいな映画館を見つけた。
1921年建築の「Le Louxsor」。エジプト趣味のアールデコで、長いあいだ放置されていたのを改装して、新たに映画館として再スタートしたらしい。まだ中に入ったことはないのだけれど、ぜひ一度行ってみようと思っています。(由)
4番線/2番線のバルベス・ロシュシュアール駅のすぐ南側。
ウチからちょっと遠いので、なかなか観に行けない。

入り口上部のモザイクとガラスのひさし。きれいですね。

2013年6月1日土曜日

気の弱い方は見ないでください。

以下にはちょっとザンコクなシーンが入りますので、神経の繊細な方、および動物愛護の精神にあふれた方は、ご覧にならないほうがいいと思います。なお、これらの写真を見て不快感を催されても、当方はいっさい責任を負いませんので、念のため。
さて、ウチの黒猫たちは暖かくなるにつれて庭に出る機会が増え、毎日楽しそうに家の周りを巡回していますが、母猫のヨルのほうは とくに狩猟精神が旺盛。
あ、ヤバい、それを家に持って入っちゃダメだよ、ヨル!
あれ? 褒めてもらえないの? 上手に穫ったのに。
このきれいな鳥はmésange。辞書で調べるとシジュウガラってあるけど、ちょっとちがうよね?
あーあ、もう動かなくなっちゃった…
でも、入れてもらえるまでここを動かないよーん。
これまでにも、雀だのネズミだのを捕まえては自慢げに持って来るので、褒めてやらねば、とは思うものの、まず「キャーッ」と悲鳴を上げてしまうのでした。野生の王国だー。(由)