ドイツ滞在中の典子さん、半年ぶりにパリに来ているコロリさん、それに(由)と(宏)の4人で、リールとその周辺に行きました。
じつはこの4人でのイギリス南部旅行を計画していて、パリからドーヴァーに渡るTGVとフェリーも予約してあったんだけど、震災、原発ですっかりその気が失せていたのです。でもせめてTGVのキップは使おうか、ということになり、とりあえずリールへ。リールには既に2度ほど行っている(宏)だけれど、郊外のクロワにあるマレ・ステヴァンスの建物を前から見たかったというのも理由のひとつです。
じつはこの4人でのイギリス南部旅行を計画していて、パリからドーヴァーに渡るTGVとフェリーも予約してあったんだけど、震災、原発ですっかりその気が失せていたのです。でもせめてTGVのキップは使おうか、ということになり、とりあえずリールへ。リールには既に2度ほど行っている(宏)だけれど、郊外のクロワにあるマレ・ステヴァンスの建物を前から見たかったというのも理由のひとつです。
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「公爵夫人の施療院」台所は一面にデルフトのタイル。 |
リールの街をぶらついて施療院などを見学。その日のうちに“Lam”(リール近代美術館)を見に行こうとメトロで南の郊外のヴィルヌーヴ・ダスクへ。駅前からバスに乗り継いでようやくたどりついたけど、門が閉まっている。持っていたガイドのデータが古くて、休館日が変っていたのだった。
で翌日は、まずトラムで北の郊外クロワにあるマレ・ステヴァンスの“ヴィラ・カヴロワ”へ。グーグルマップのプリントによれば、すぐそこを曲がった突き当たりにその家があるはず。と思ったら、まっすぐ延びた並木道の入口には電動の柵がある。お屋敷街の私道なのです。……と、するする扉が開いて車が出てきた。これ幸いと入り込んで、旧軽井沢みたいな通りを優雅に散歩。ところが突き当たりの門が完全に閉鎖されていた。
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クロワのお屋敷街。奥にカヴロワ邸があるのだけれど。 |
しかたなく引き返し、大廻りしてJ.F.ケネディ大通りへ出て、さっきの裏門の向こう側、カヴロワ邸前に到着。ここは1930年代初め、ルーベの繊維会社経営者カヴロワ家のために建てられた、長さ90m、広さ2400㎡というとんでもない近代建築の住宅。
改装中なのは知ってたけど、外観だけでも見られたらと思っていたら、幸い門が開いている。門の脇には小振りな、といってもわがばにゅうの宿よりずっと大きな門番小屋。木立の向こうに建つ母屋の前に工事のおじさんがいたので、外だけ見てもいいかと尋ねたら、「ダメ。今門を閉めるとこ。9月の歴史遺産の日においで」。2年後の完成と聞いていたけど、念のために訊いてみたら「4年か5年」 だそうです。
で、遠くから撮ったのがこれです。ほんとは車のウシロの木立の向こうまで続いている。
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地元の黄土色レンガで覆われたコンクリート建築です。 |
またトラムに乗って隣町のルーベへ。15世紀から栄えた繊維産業の町。1932年のきれいなアール・デコ建築のプールが産業美術館に改装されています。プール両側に並んだタイル張りのシャワー室や更衣室もうまーく利用されていてかっこいい。
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美術館の名も“La Piscine”(プール)です。 |
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広い庭には野外彫刻がある。 |
新たに増築された棟が“Art Brut”の展示室になっていて見応えがあります。
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これはヘンリー・ダーカー。 |
さて、次はどこにいこうかな? 典子さんがテキトウに地図を見て「ここなんかどう?」 と言ったベルグという町を、緑のミシュランで調べてみたら、なかなかいいところらしい。赤のミシュランをリール駅のキオスクで立ち見(すみません)してメモったホテルに(由)が電話、予約が取れたのです。
ベルグは運河と中世の市壁、そして17世紀にヴォーバンが築いた壕に囲まれた要塞都市。ブルゴーニュ公が造った方形の塔なんかも残っている。
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尖塔は昔の修道院のもの。 |
でもやはりフランドルの町だから、中心の広場には50の鐘のカリオンがあるブフロワがそびえています。
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狭い螺旋階段で上るブフロワの高さは17m。 |
そして、ブフロワの向かいの市役所の前には、フランドル独特の巨人人形が座っている。
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市長にラマルティーヌを選んだ市民のシンボルです。 |
ぐるりと巡っても1時間半ほどの小さな町は、どの門を出ても壕や運河の水辺がある。
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カナル(運河)の白鳥は、かなり近寄っても平気。 |
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カナルのカナール(鴨)。コルベール(野鴨)なのかも。 |
リール行きの電車に間があるので、ついでにすぐ隣のダンケルクにも足を伸ばしました。
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国境の港町ダンケルク。 |
背がすらっと高いフランドルの人たちは、例えばカフェでコーヒーを運んできたときなんかに“シル・ヴ・プレ” という。ベルギー人と同じ使い方です。ビールの種類が多くてうまいのもベルギーと同じ。 北の国2泊3日の旅でした。(宏)