2015年5月2日土曜日

消えたサマリテーヌ4号館。

2005年にとつぜん閉店したラ・サマリテーヌ。 その後公表されたSANAAによる改装計画では、高級ホテル、オフィスと商業施設、さらにパリ市の要請で加えられた公共住宅と託児所を含む複合ビルになるというのだけれど、工事は遅れに遅れてあまり進んでいない。
ユネスコの世界遺産地区セーヌ河畔一帯にあって、しかも歴史的建造物に指定されているため、この計画は景観や建築保全に反するとして、いくつもの団体が計画の撤回や工事差し止めを訴えている。この1月には、控訴院が工事許可の取り消しを命じています。
ところが既に、リヴォリ通りに面した4号館が 取り壊されてしまったのです。
塀で囲まれた消えた4号館跡。向こうは2号館。
ポン・ヌフのたもとの2号館の北側にあった4号館は、17世紀から19世紀の幾棟かの建物を1932年に改装したものだった。渡り廊下で2号館と結ばれていたメインの建物はすっかり無くなり、西側の通りに面した一部の建物群だけが遺されています。
左は1号館。右奥は2号館。
2号館との間の路地。遺された建物にはカフェも残る。
1870年に開業したサマリテーヌはパリ最大の百貨店だったけれど、業績の悪化で20世紀末には1号館と4号館を手離し、さらに本体もLVMに買収されていた。でもここはノートル・ダムとルーヴルの中間に位置するセーヌ河畔の一等地。じつはLVMHは当初からここを百貨店として存続させるより、高級ホテルに変えた方がいいと考えていて、安全性の問題を理由に閉店させたのだ、といわれていたのです。
2号館は空き家になって10年。路地の壁に遺る案内。
フランツ・ジュールダンとアンリ・ソヴァージュによる、アール・ヌーヴォーとアール・デコの2号館は、さすがに取り壊されることはないだろうけれど、成り行きはどうなることやら・・・・。
選ばれたSANAAは、16区に建つはずだった公共住宅も中止にされ、もううんざりだろうけれど、パリではよくあること。でも取り壊されてしまったものはもう戻らない。千駄ヶ谷の国立競技場も見直しとなればいいのだけれど。(宏)





1 件のコメント:

  1. 以前、サマリテーヌの屋上から、パリの街を眺めたことがあります。
    絶好のロケーションだったのに、ある時本当に閉店していてびっくりしました。
    パリに行くたびに、何かに生まれかわっていないかなあと思うのですが、そんな事情があったのですねえ。
    当分だめかもしれないし、突然動き出すかもしれませんね。
    せっかくの場所で、ちょっと趣のある建物なので、一般人が入れるような施設にしてもらいたいものなんですが・・・。

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