2013年8月3日土曜日

終戦直後の実験プレファブ住宅街。

ノワジー・ル・セックのレトロ食堂でのゆるくおいしい昼食を終え、続いてマコトくんとアキさんの案内で2人の家の近くにある "La Cité Expérimentale de Merlin" という緑につつまれた住宅街を歩きました。
SNCF(フランス国鉄)の拠点だったノワジー・ル・セックは、第2次大戦中にドイツ軍の物資供給基地に使われていたため、1945年の連合軍による爆撃で街の大半が破壊されてしまった。戦後すぐに計画され、焼け野原だった6.5haの敷地に建設されたのが、この復興モデル住宅地なのです。
 「新しい建材で従来の建物に劣らない質の家を、少ない材料と省エネの建設で」というモットーで建てられたいろんな形のプレファブ住宅が並んでいます。
ということで歩き始めたら、庭仕事をしていたおじさんに声をかけられた。  
ここで生まれ育ったというおじさんです。
父親はSNCFの機関士だったというおじさん。爆撃したのはカナダ軍だったけど、この家はカナダ製なんだという。この人、ヒロシマ、ナガサキの死者よりも東京大空襲の死者が多かったなんて思い違いもあったけど、日本の歴史にやたら詳しかった。
講義が一段落したところで、さて見学再開です。フランスだけでなく、プレファブ建築の先進国だったアメリカやイギリスをはじめ、各国の業者が競って建てた家がある。
CITY LUMBER 木造。1947年。
ARMOR これも木造。1947年。
上の2軒はアメリカ製。もう取り壊されてしまった "UK100" というタイプは、フランス中の復興住宅に採用されたらしい。こういうの、練馬の実家の近くにあった米軍住宅地グランドハイツに並んでいたなぁ。今は光が丘団地になってるけど。
FINN HUS 1948年。
PUTALO 1948年。
この2棟はフィンランド製。もちろん木製。下のプータロー(いい名前だよね)というメーカー は、日本にもあります。
OMNIS 木造。建築年不詳。 
SHINDRAR コンクリート+レンガ。1946年。
上はスウェーデン、下はスイス製。なーるほど。
で、 以下はフランス製。木造が多い各国の家に比べて、フランスものは鉄骨やコンクリート製が中心。石綿を使ったものもあったけどもちろん今は残っていません。
SOTEBA  鉄骨コンクリートで陸屋根の家。1946年。
JEEP なんとも戦後っぽいネーミング。1946年。
GUTTON 伝統建築っぽい石造り。1946年。
当初の計画では150棟の予定だったけれど出来たのは56棟。そのうち26棟が外国製です。1980年にすべて払い下げられた後に建替えられた家もあって、今残っているオリジナルは 44棟。取り壊された中には、ジャン・プルーヴェ設計の家もあった。
 2000年に国の歴史記念建造物に指定されたので、もう壊されることはない。修復工事中の家が多いのはそのせいでしょう。(宏)



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