2012年9月26日水曜日

ブノージュ村の夏休み;その8 動物農場。

ブノージュのケイコさんちの隣には鶏がいます。家の前の畑の坂道をを下りていくと牛がいます。
朝から夕暮れまで、いつも食事中の牛たち。

















穫れたてのカシスとイチゴを買いに行った農家にはロバがいた。
近寄るととてつもない大声でヒィン、ハ−ンと啼きます。

















まるでひとけのない小さな村を歩いていたら、裏の森からいきなり何頭かの馬の列が現れた。乗馬クラブの人たちです。
フランス人は乗馬が大好き。

















ドルドーニュ沿いの道端に「ルート.デュ・フォアグラ」という標識があった。フォアグラはこの辺り一帯の特産です。
フォワグラ街道。
















でも、クルマから見ていてもフォアグラのもと鴨や鵞鳥の群れには、なかなかお目にかからない。と思っていたら、いました。木立の向こうの草原を散歩するガチョウさんたち。羊もいっしょです。
マユミさんにクルマを停めてもらって、ガチョウのほうへ向かうと、犬たちがうれしそうに飛びついてくる。その後から気のよさそうなおばさん。写真を撮らせて、というと快くOKで、案内してくれた。
のどかな動物農場。

















生まれて間もない子ガチョウは金網で守られている。犬や羊はガチョウを狙ってくるキツネ対策なんだって。
かもんべいびー。いえ、がちょーん。


















この動物農場ではヴァカンス用のキャンプ場もやっていて、大勢の動物たちは子どもたちにも喜ばれている。フォアグラは作っていません。オバさんは全部の動物たちに名前を付けている。ふつう人の手からは ぜったいにエサを食べないという雄鶏も「おいでクッキー」の声で近寄ってくる。
動物と同じ目線で。

















原価で分けてもらったタマゴは,小さめだけど、割っても黄身が球のままで、とびきりおいしかった。ほんとは結構大変なんだと思うけど、じつに楽しそうに暮らすおばさんでした。(宏)

2012年9月25日火曜日

ブノージュ村の夏休み;その7 バスティッド。

ブノージュから数十キロ西、ドルドーニュの南の丘にあるモンパジエ(Monpazier)は、バスティッド(Bastide)と呼ばれる中世の自治要塞都市です。都市と言っても住民は500人ほど。サンシール・ラ・ポピーと同じ「フランスのもっとも美しい村々」のひとつです。
おもにフランスの南西部で見られるバスティッドは、13世紀から14世紀にかけて、見晴らしのいい丘の上に建設された当時のニュータウンです。数本のまっすぐな主要道路とそれを結ぶ路地が、格子状の街区を構成し、周りを堅固な市壁で囲んでいる。街への出入りは数カ所のの市門だけ。村の中心には正方形の広場があって、たいていどこもきれいなアーチ型のアーケードを持つ建物で囲まれています。
モンパジエのコルニエール広場。

















モンパジエは、この地方にいくつもあるバスティッドの中でも、その形がほぼ完全に保たれている代表的な例として知られている。
モンパジエの格子状の街区は南北が400m、東西は220m。













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1284年に当時のアキテーヌ公だったイギリス王エドワード1世によって造られたモンパジエの街は、今も中世のころとほとんど変らない。丘の上に整然と並ぶ古い家並みは、畑と森の続く周りの風景とは対照的な、都市的空間を感じさせます。
住民の自治権が与えられていた。

















バスティッドは、軍事と流通の、そして農地開拓の拠点として、トゥールーズ伯、イギリス王、フランス王家が,それぞれ競うように建設したらしい。
モンパジエのモンです。

















市門の外のテラスからの眺めも、中世のころとそんなに変っていないのかも。
いちめんの緑とドルドーニュの支流Dropt川。
















ドルドーニュ沿いのドム(Domme)もバスティッドです。ここはブノージュからも近い。眼下にドルドーニュの流れを見下ろす北側は切り立った崖。水面にたくさんのカヌーがミズスマシのように見えます。向こうの深く黒ずんだ森は「ペリゴール・ノワール」と呼ばれている。
いちめんの緑とドルドーニュ川。















フランス王フィリップ3世が造ったドムは、崖のある北側以外は堅固な市壁で囲まれている。でも地形の関係で格子状の街区は部分的。ここもやはり「フランスで最も美しい村々」のひとつで、サルラにも近いから、夏には大勢の人が訪れるかなりな観光地です。
ドム。南のトゥール門。















3つ目は南のロット川を越えてさらに南へ。ローゼルト(Lauzerte)は、1241年、トゥールーズ伯が造った初期のバスティッドで、ここもやはり「美しい村」です。
ローゼルトのコルニエール広場。















モントーバンやアジャンにも近いローゼルトは、メロンやプラム、フォワグラなどの集積地。中世にはサンチャゴ・デ・コンポステラへ向かう巡礼も通る村だった。
市門。ドムやモンパジエに比べると静かな村です。















もうひとつ、モンパジエの西北、ベルジュラック寄りのベルモン・ド・ペリゴール(Bèlmont de Perigòrd) は、エドワード1世の臣下が1272年に築いたバスティッド。ここは2001年までボーモン(Beaumont)と名乗っていたけれど、元のオック語の表記を使うようになった。
ベルモンには1200人近い人が住んでいて、村というよりは町かな?、という規模。そのせいか「美しい村々」には入っていません。
ジャン・ムーラン広場のカフェにいるのも地元の人たち。

















フランスの中世の町は、城や教会を中心にした円形のプランに蜘蛛の巣のように入り組んだ街路を持つのがふつうだけれど、計画的に造られた直線的な街区のバスティッドはユニークな存在。それが今もほとんど変わらずに保たれているのです。(宏)

2012年9月19日水曜日

ブノージュ村の夏休み;その6 パスティスの話。

ひと休みしていたので、もう夏休みの報告は種切れ? と思ったでしょうが、イヤイヤどうして、まだまだあります。
 パステイスっていうと、ふつうペルノーとかアブサントとか、アニス系で作った食前酒のことだって思うけれど、この夏ブノージュで出会ったのは、そういうリキュールとは何の関係もないフシギなお菓子だった。 
前にケイコさんからパスティスのこと、そしてカザルの市で知り合ったパスティス作りの名人の話は聞いていたのだけれど、今回、その人が自宅でお菓子を作るのを見せてもらえる、という。10kmほど南の村にあるスリエおばさんの家に、さっそく皆で押しかけて行きました。 
丘の上の花畑に囲まれた小さな家。奥に見えるのが離れの台所。
  

















今回は娘さんたちのために3個のパスティスを焼くという。 小麦粉にサラダ油と塩・砂糖、水を混ぜた種を、耳たぶくらいの柔らかさに練って3時間は寝かせる。リンゴは刻んでオードヴィに漬けておく。
小さなパンくらいの種を、シーツを広げたテーブルに置く。











手を使って伸ばします。











伸ばします。











どこまでも伸ばします。










ジャーン!伸びたー。下のシーツが透けて見えるほど薄い。






































驚くほど薄く伸びた生地にオイルを塗り、外側の部分はカットして、砂糖を撒き、リンゴをのせて帯のように巻く。カットした生地は、足りない部分に再利用。
バラバラとリンゴを置く。











こんな帯を何本も作ります























リンゴ入り生地の帯を、タルト型の中に花のように並べて詰めてゆく。帯の上の部分をナイフで裂き、生地の残りを花びらのように飾ってオーヴンへ。
バラの花のような具合に並べて、焼く準備の出来上がり。












 





上の段で強火で20分、下の段に移し、火を弱めて25分。焼きたてにシロップをかけて蒸らします。 
シロップはオードヴィ+砂糖+水にリンゴの漬け汁を加える。











でき上がり。






















パイ皮がサクサクと軽く、香りのよい上品な味わいのお菓子です。別の町のレストランでも食べ比べてみたけれど、やっぱりスリエおばさんのパスティスには敵わなかった。あの生地伸ばしの技が、味の決め手でしょうね。 庭の花までお土産にいただいて、大満足で帰りました。(由)

2012年9月10日月曜日

Les Docks


この春セーヌ河畔にオープンした LES DOCKS, Cité de la mode et du design に行ってみた。1907年に建てられた、建材などの倉庫だった建物を改装したもので、対岸から見ると、緑色のチューブが蛇みたいに水辺に這うユニークな建物です。
オステルリッツ駅横から河畔に下りようと思ったら、散歩道がまだ未完成で、仕方なくクルマの多い河岸の道路を行く。
セーヌ側に開かれた板張りの床の明るい建物には、一般公開の前から開校していたモード学校の教室と、いくつかのセレクトショップやカフェ、レストランもある。セーヌ側に突き出たガラス張りのチューブの中を、ゆるい勾配のスロープで屋上へ。
plug over というんだそうです。

















屋上テラスのカフェで休憩したんだけど、きっとおしゃれな人たちばかりだと思ったら、黒眼鏡にケータイ持っってなにやら商談する、なんとなくふつうじゃない雰囲気の男たちが多い。で、コーヒーが4ユーロ。ラウンジなんて称しているのもちょっとね。
下の展示場の横のカフェのほうが感じいいみたい。
屋上のカフェは気持ちいいけどセーヌは見えない。


















板張りのテラスに小さな丘みたいなスロープ屋根の建物があって、屋根の上は雑草?が生い茂っている。どこからか尻尾のないネコが寄ってきました。
マヌカン歩きのネコ。

















展示場では、バレンシアガとコム デ ギャルソンの展覧会を開催中。
刺繍、レース、ビーズ……。細かな手仕事の集大成。











2012年、春夏コレクションの作品です。























黒っぽいバレンシアガの展示と、ギャルソンのホワイト ドラマという展示の対比がなかなか印象的です。
帰りは6号線のケ・ド・ラ・ガール駅に出ました。

















建物の南側で、パリコレのデフィレの(たぶん)設営が進んでいました。(宏)