2015年1月11日日曜日

朝市、骨董市、ワイン市、ノエル市。トークショーⅡ期2回目の報告。

12月のトークショー、おかげさまで満席で終えることができました。年末の夜なのにわざわざ足を運んで下さった皆さん、ありがとう。
今回は市民の日常に欠かせない食材の定期市を中心に、古物市、ワイン市、それに時節柄ノエル(クリスマス)市も入れて、街路や広場で開かれる青空市の話でした。
品定めしながら順番を待つ。
 例えばバスティーユの朝市は毎週火曜と日曜、モンジュ広場では水・金・日曜というように、週2〜3回、朝7時ごろから昼過ぎまで開かれる。広さが東京の山手線の内側ほど、そんなに広くないパリ市内の82カ所で朝市が開かれています。
山のように積まれた野菜、果物、魚介類、肉、チーズ…‥、その種類の多さと新鮮なこと! 
小型のエビ。向こうにはカニや貝。
全国各地のフロマージュ(チーズ)。
そしてオリーヴ。
朝市と書いたけれど、近年レアールなどにできた市は、昼から夕刻に開く午後市もある。それに、19世紀後半の市場建築が使われているラ・シャペルなどの屋根付き市場は、月曜を除く毎日、朝夕に営業している。フランスでは「朝市」とは言わず、どれも "marché" です。あ、上に並べた写真は、バニューの前に住んでいたアントニーの朝市。ここはモダンな屋根付きだけど火・木・日の朝市です。
バスティーユ東の下町アリーグル広場にあるボーヴォー市場は、市場としては古くて小規模な建物。ここの肉屋の大きなオーブンで週末だけ、乳のみ仔豚がまるごと焼かれている。
これはブタだけどウマイ。切り分けても売ってくれる。
トリの丸焼きはどこでも買えるけれど、これはパリでもなかなかお目にかかれません。
 この市場前の広場では、いつも通り古物市(ブロカント)が開かれている。

1846年に造られたボーヴォー市場と広場のボロ市。
トホホ、もう帰りたいよ。アリーグルの犬。
で、話は骨董市(antiquités)、というより古物の市(brocante)へ。
寒くて陽の短い冬と、人がいなくなる夏のヴァカンス時期は少ないけれど、パリのあちこちで、古物の青空市・ブロカントが開かれます。
わが家の椅子や食器類のほとんどが、ブロカントで集めたもの。他にも立体写真の装置やネガだの、昔のハカリだの、使えるもの使えないものがいっぱいある。郊外でも田舎でもブロカントと聞くと、覗くのが習性になっている。
ブロカント+ヴィド・グルニエ。
 ウチのフミ・ナオは、買うだけじゃなく、誰でも出店できる青空市にスタンドを出して要らなくなったものを売っている。こういう市民参加の市は、vide grenier(ヴィド・グルニエ=屋根裏を空っぽに、という意味)といって、大部分が子どもの服やおもちゃなどで、ロクなものが無いのだけれど、時々いいものが格安で手に入る。
バニューのヴィド・グルニエ。ナオがいます。
 ワインの市も楽しい。パリでは年に数回、全国の生産者が集まる大規模なワイン市が開かれる。でも、余りにたくさんのスタンドが並ぶので、どこに取り付いたらいいか困ってしまいます。 
毎年9月にアントニーで開かれるチーズとワイン祭 "Foire aux Fromages et aux Vins” は、街の教会前の広場に、各地の生産者のスタンドが並んで試飲や試食ができる、のどかでおいしい年中行事です。ウチはここで気に入ったベルジュラックのワインを毎年仕入れています。
ワインやチーズだけでなく各地の名産のソーセージやパテ、フォワグラ、蜂蜜、お菓子類も豊富。アリゴやタルティフレット、生ガキもその場で食べられる。すっかり出来上がったオッサンが、気持ち良さそうに寝ていました。
アントニーはパリからRERで15分ほどです。
コルス(コルシカ)のワインや名産品。
きっと飲み過ぎたんだよね。
 12月には、シャンゼリゼやサン・ジェルマン、サン・シュルピス広場などに、マルシェ・ド・ノエル(クリスマスの市)が出る。フランスのノエルは、カトリックの伝統があるから、必ずキリスト生誕場面を再現したクレッシュが飾られ、ノエル市にはプロヴァンスのサントン人形の店が出る。ここにも各地の特産や食べ物の屋台が並びます。寒くて暗い街に明るい活気を作り出すのです。

サン・ジェルマン教会とノエル市。
サン・ジェルマン教会前に飾られたクレッシュ。
チーズと玉ねぎでで作るタルティフレット。
シャンゼリゼで、熱いワインじゃなく、なぜか‥‥。
シャンゼリゼのノエル市。
‥…と、日常と季節ごとのいろいろな青空市について、ややとりとめのない話でした。

次回は1月24日(土曜日)14時。「世紀末の匂い、アール・ヌーヴォー」 というテーマです。19世紀末から20世紀初めのヨーロッパ各地、といっても限られた都市で開花し、わずかな期間で消えていったアール・ヌーヴォー。
メトロ入り口で知られる建築家エクトール・ギマールを中心に、パリに残るアール・ヌーヴォーのさまざまを見て歩きます。

ギマール初期の名作カステル・ベランジェの入り口扉。

カステル・ベランジェの玄関ホール。
ギマールの建築はほとんどが今も住宅として使われているため、中を見ることができないけれど、機会があって運良く入ることのできた内部のことも話します。
今のところまだ空席がいっぱいらしい。おヒマのある方はぜひご参加下さい。(宏)
Tel.03-6821-5703



1 件のコメント:

  1. お話、とっても楽しかったです。
    あれからパリに行って、朝市とシャンゼリゼのクリスマス市を
    楽しんできました。
    クリスマス市、特別素晴らしいものを売っているわけではありませんが
    雰囲気を楽しむのにはとても良いですね。
    ついつい余分なものを買いたくなってしまう・・・。
    また楽しいお話をきかせてください。

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