2010年11月21日日曜日

ナンテールの病院で小曽根真さんのピアノ。


日本文化会館で広報の仕事をしている綾さんから、ナンテールの病院で小曽根さんが無料コンサート、外部の人も聴けるから早めに、という知らせ。これはとにかく行かねば、とナンテール・ヴィルへ。駅からのバスは、殺風景とはこういう風景か、という地区を抜け、古い病院の前に着く。ここは昔から、住む家のない人々も受け入れるフランス唯一の施設で、会場は長い長い渡り廊下を歩いた先だという。木造の廊下の天井は白地に赤のペイント。壁には大胆なグラフィックパターンのパネルが並んでいる
何て長い廊下。ナンテールの病院は19世紀末の建築。

















で、何人かの人に訊ねてたどり着いた会場は、養老院棟の食堂だった。開演の14時30分が近づくと患者さんやお年寄りが続々と集まって来る。車椅子の人も多い。窓の外には病院付属のノラネコさんも聴きに来ている。

右にいるのもネコです。まんとひひだなんていわないで。







  








翌20日にはサル・ガヴォーで6人のピアニストによる演奏会があるという小曽根さんは、この無料コンサートのため空港から直行してきたという。広い食堂の中央に置かれたピアノを、何が始まるのかと興味深げな目が遠巻きにしている。
オリジナルからスタンダードのジャズ、小曽根さんがジャズピアノを弾くきっかけになったという『枯葉』、それにこないだスコダがアンコールで弾いたショパンの『プレリュード第4番』…最初は小曽根さんのピアノになんとなく反応の乏しかった人たちだけれど、「ボクが小さかったころ、父が弾いていたのを憶えている曲です。でも間違えたらごめんなさい。弾くのは40年振りだから」と前置きしたピアフの『バラ色の人生』が始まると、ピアノの脇にいた車いすの老人が小さな声で歌い始めた。それに向かいの老人がしっかりした声で唱和する。そして、ついには食堂全体がひとつになっての大合唱になっていた・・・。
予定の1時間をはるかに超える演奏が終ると、ピアノの周りには、小曽根さんに「メルシー」を言いに来る人がいっぱい。
小曽根さん(綾さんも)ほんとにありがとう!
なんていい音楽会。食堂には150人もの人たちが来ていた。















小曽根さんは、サル・ガヴォーのコンサートの翌日にはポーランドへ。でも、来年の4月5日にはクレルモン・フェランでオーヴェルニュ管弦楽団との共演。夏には、プロヴァンスのLa Roque d'Antheron国際ピアノ・フェスティヴァルに、井上道義さんが率いるオーケストラ・アンサンブル金沢とともにやってくる予定です。(宏)





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